ニュース 2018年09月25日

ソフトウェア品質シンポジウムでSQiP Best Presentation Awardを受賞

一般財団法人日本科学技術連盟の下に設置されている「SQiP(Software Quality Profession:スキップ)」の「ソフトウェア品質シンポジウム2018」において、弊社の湯川健が参加する研究チームが、SQiP Best Presentation Awardを受賞いたしました。

発表内容
【経験論文】作成者の認知バイアスに着目したレビュー手法の提案

概要

レビューを実施しても、重大欠陥の検出漏れは後を絶たない。検出漏れが発生する要因の一つとして、欠陥の検出難易度が高いことが挙げられる。検出難易度が高い欠陥とは、レビュー対象である成果物から記載すべき内容が抜け落ちている欠陥、将来の運用や保守性について考慮が漏れている欠陥が該当する。すなわち、検出難易度の高い欠陥は、成果物の記載内容のみをレビューしていては検出できない。

そこで我々は、作成者に掛かる認知バイアスに着目した。認知バイアスとは、人の思考を無意識に歪め、誘導するものである。作成者が認知バイアスに掛かることで、ヒューマンエラーが引き起こされる。その結果、成果物に必要な情報が記載されず、検出難易度の高い欠陥を混入してしまうのである。

本発表では、認知バイアスに着目したレビュー手法として、D2BOCs(Defect Detection from Background of Cognitive bias)法を提案する。D2BOCs法の特徴は以下の二つである。

  1. 認知バイアスを推測し、欠陥の傾向を特定する
  2. 高リスクの範囲を重点的にレビューする

効果検証により、重大欠陥・検出難易度の高い欠陥の検出にD2BOCs法が有効であることを確認できた。

ソフトウェア品質シンポジウムとは

ソフトウェア品質シンポジウムは、ソフトウェア品質に関する実践的な技術・経験・研究成果を共有し、意見交換を行う場です。コンセプトは「聴く、考える、話す」。様々な立場やドメインの方々の発表・講演・展示を見聞きするだけでなく、議論できる場も提供しています。

今年は9月12日~14日に東洋大学で開催されました。 ソフトウェア品質シンポジウム2018